機関紙建設なんぶ

機関紙建設なんぶ2013年12月10日号

港区内6団体が区議会総務常任委員会と懇談
入札改革など要望
組合は実態調査、公契約条例求める

12月11日の懇談会の模様

12月11日の懇談会の模様

12月11日(水)午後1時から港区議会第5委員会室で、港区議会・総務常任委員会と区内建設団体との懇談会が開かれ、「全建総連 東京都連 港地区協議会」(東京土建港支部、首都圏建設産業ユニオン城南支部、東京都建設組合)、港区建設業防災協議会(区内中小ゼネコン等)、港土木防災協力会(土木工事業者等)、港区管工会(空調、給排水設備施工業者等)、港区電設防災協力会(電気工事業者等)、港区造園協力会(造園業者等)の計6団体が参加。区議会側からは、うどう巧委員長(みんな)、土屋準副委員長(自民)、ゆうきくみこ(自民)・沖島えみ子(共産)・樋渡紀和子(みなと政策)・林田和雄(公明)・鈴木たけし(自民)各委員、オブザーバーとして、港区の所治彦総務課長、湯川康生契約管財課長が出席しました。
 区内建設団体と総務常任委員会との懇談会は、2006年11月13日に、港支部が区議会に提出した「地元中小建設産業従事者の経営と生活危機打開のための緊急対策を求める請願」をめぐって開催されて以来7年ぶりとなります。
 今回の懇談会では、各団体が、区発注工事について、「区内の会社や技術者は街の整備に並々ならぬ熱意をもっているが、3千万円以上の工事では区外業者の参加を許しており、区外業者に仕事を持って行かれている。世田谷区や大田区など、区工事への参加は本店がその区にあることを条件としている区もある」、「『防災協定』や『公園の美化活動』などの地域貢献の項目を盛り込んだ『特別簡易型総合評価方式』での案件が少ない。区内業者を保護育成するのではなく、切り捨てるようになっている」、「この間の落札結果を見ると、入札額が、事前公表される予定価格の70%に張り付いているため(最低制限価格=70%)、結局クジ引きで落札業者が決定されることが多く、地元業者の技術力が反映されていない。区のやり方に失望して、廃業した中小零細業者も多い」、「おおむね5億円以上がJVの対象となっているが、(請負金額がそれほど多くならない)設備工事の場合は、5億では地元業者でJVを組めない」、「(土木工事の場合、特に)年度末の発注が非常に多いため、年間を通じた設備投資が出来ず、重機等が必要な降雪や災害に対処できない」などの問題点を指摘し、「区内業者の指名優先。大型工事では元請は無理にしても2次で区内業者優先を」、「最低制限価格の引き上げ」「『特定簡易型総合評価方式』の本格的な活用」などを要望しました。
 都連港地区協議会は、「組合は、若者が希望を持って働ける建設業を求めてきた。国交省が、労働者の社会保険加入のための費用を見込んで、公共工事設計労務単価を大幅に引き上げ、大工の場合、22,800円となった。しかし、東京都連の調査では16,523円が実態。区の最低制限価格が70%ということは、その分、労働者の賃金にシワ寄せが行くということ。区が『官製ワーキングプア』を作っているとも言える。労働者の賃金確保や業者の積算努力に報いる意味でも、予定価格に単純に70%を掛ける『予定価格の事前公表』と『最低制限価格70%』は問題」として、「区発注工事での賃金実態調査」と「適正水準の賃金確保と、地元業者優先(地元業者なら交通費等の間接が少なくすみ、労賃にシワ寄せがいかない)のための『公契約条例』の検討」を要望しました(協議会の小川均事務局長《東京土建》、事務局の正垣尊清さん《建設産業ユニオン》が発言)。
 総務常任委員会側からは、「区が栄えるためには、地元業者が潤うことが必要。気持ちよく入札できる内容になって欲しい」(樋渡委員)、「電気工事で毎回70%に張り付いていることは議会で問題にしてきた。技術者の育成強化も重要と思う。今後も頑張っていきたい」(沖島委員)、「入札制度に『防災協定の締結』や美化活動などの日常活動も反映させるべき。7年前の懇談会以降、課題は何も解決されてこなかった。今回を機に、総務常任委員会として、まとめるものはまとめ、キチっとお伝えしていくことが重要」(林田委員)との意見が述べられました。
 「全建総連 東京都連 港地区協議会」として、公共工事で働く仲間の賃金確保に向け、今後も区内建設団体とともに、改善に向けた動きを進めていきます。