2月16日・17日に、第38回伝統建築技術見学会(東京土建技術研修センター主催)が開催されました。
今回は、昨年、二十年に一度の遷宮(せんぐう)が行われた伊勢神宮の新旧正殿の参拝・内覧でした。
参加した支部組合員からの感想を掲載します。
南雲 勉【みなと分会・大工】
私は、白川郷の合掌(がっしょう)造り民家の見学など、技術研修センター主催の見学会には、何度か参加してきました。センター主催見学会の魅力は、何と言っても、一般の人では見ることができない所まで見学できることです。
今回の新宮内覧会でも、神宮式年造営庁技術総監の中村光彦さんが案内人をつとめてくれたことで、普通では見ることのできない部分も拝見することができ、
建築にたずさわる者として勉強になりました。
見学会に参加したことのない人には、参加をおすすめします。
鈴木功【みなと分会・工務店】
数日前に降った大雪のため、催行を心配していましたが、催行されました(ただし、多摩地域の人は来られませんでした)。東名の東京料金所が閉鎖ということで、国道15号で行き、途中から東名に入る予定でしたが、横浜を過ぎた頃より渋滞が始まり、「これでは今日中にホテルに着けない」との判断から、急きょ新横浜から新幹線で名古屋に行き、近鉄にて鳥羽駅へと向かいました。
ホテル到着後、講師による式年遷宮の意味と、正殿の構造の解説があり、伊勢神宮の内宮・外宮は「唯一神名造(ゆいいつしんめいづくり)」と呼ばれ、高床式の穀倉をかたどっていること、柱を建てる基礎はなく、地面に丸柱を直接埋める堀立柱方式であること、堀立柱方式では柱が腐るため、土中部分を銅板巻きしていること、屋根は萱葺きであることなどを勉強しました。
翌日朝には、渋滞に巻き込まれていたバスがようやく到着し、私たちはそれに乗って、内宮・外宮へと向かいました。内宮・外宮の新正殿敷地内での参拝については、スーツ・ネクタイ着用の条件がありますが、一同、代表を前に整列し参拝しました。
旧正殿は二十年の年月を経て腐食が進んでおり、二十年ごとの遷宮の意義は、技術の伝承と、正殿建替の必要性にあることを理解できました。
また、伊勢の地に皇祖神としての天照大神を祀った歴史の深さを、現地に立って、改めて実感しました。
千代田区が、今年10月からの施行を目指し、千代田区議会平成26年度第1回定例会(2月24日開会)に、「千代田区議会公契約条例案」を提出しました。
国や地方自治体(県市区町村)が、公共工事やサービスの提供(公共施設の運営など)、物の購入を民間企業などに委託する際に結ぶ契約を「公契約(こうけいやく)」と言います。
民間委託の主目的は、歳出削減と、公共サービスの効率化にあり、特に歳出削減の点から、この間、低価格・低単価での契約・発注が増えてきたところです。
一方、低価格・低単価は、公共サービスの質を低下させ、公共工事などで働く人の賃金低下を招き、「官製ワーキングプア」を生みだしてきました。
工事やサービスの質の確保公契約で働く人の賃金・労働条件を守り、住民がより良いサービスを受けられるよう、賃金の最低基準額を条例で保証するのが「公契約条例」で、これまでに、野田市(千葉県)、川崎市、相模原市、厚木市、東京では、東京土建の支部の奮闘により、多摩市、国分寺市、渋谷区、足立区で制定されています。
千代田区の歌川さとみ政策経営部長は、2月27日の区議会本会議で、条例案提出について「区は、最低価格での入札に発注してきたが、過度な経費削減で、下請代金の不払いや労働環境の悪化が懸念されてきた。条例は強制力をもったものとして、下請も含めて対象にする」と述べています。
公共工事では、職人の不足と資材の高騰(こうとう)で入札不調が相次いでいますが、数年にわたる建設不況の中でのダンピング競争の結果、低賃金や無理な工期を押し付けられた熟練労働者が建設業を離れていったことを考えれば、地方自治体が条例で一定の水準を定め、労働条件を確保することは時代の要請といえます。
東京土建の中で千代田区も担当する港支部は、今回千代田区が公契約条例案を提出したことを歓迎します。